お腹の症状

嘔吐

原因

嘔吐の原因はいろいろあります。ほとんどは急性胃腸炎(嘔吐下痢症)のことがほとんどですが、ほかの疾患も嘔吐の原因となることがあります。

嘔吐で考えられる疾患

嘔吐の頻度が高い場合や続く期間、嘔吐以外にどんな症状があるかによって下記のような原因があります。
嘔吐に加えて見られる症状:疑われる疾患
  • 発熱 :急性上気道炎、中耳炎、尿路感染症
  • 意識障害 :細菌性髄膜炎、腸重積症、水頭症増悪、脳腫瘍、糖尿病、服腎不全
  • 腹痛 :腸重積症、急性虫垂炎、尿路結石、麻痺性イレウス
  • せき込み :急性気管支炎、急性肺炎、百日咳、マイコプラズマ肺炎
  • 体重減少 :糖尿病、脳腫瘍
  • ⻑く続く嘔吐 :周期性嘔吐症、心因性嘔吐症、腸回転異常症、脳腫瘍

嘔吐物の処理方法

感染性腸炎の場合は吐いたものをきちんと処理しないと感染が広がる可能性があります。アルコールはノロウイルスには無効なため次亜塩素酸消毒剤を使用してください。次亜塩素酸消毒剤は500mLのペットポトルに水を入れ、10mLのハイターを入れると作成できます。必ずお子さまの手の届かないところで保存してください。

受診の目安

嘔吐を繰り返し、半日以上水分が摂れていない場合で下記の症状などがあれば急いで受診してください。
そこまで症状がなくても当院では診察と超音波検査にて原因の検索と脱水症状が起きていないかの確認など行い、吐き気止めの処方ができますのでお気軽にご相談ください。
  • 顔色が悪くぐったりしている
  • 半日以上おしっこが出ない
  • 血便が出た
  • 嘔吐をした時の自宅での注意点

    経過の確認

    急性胃腸炎の場合は、嘔吐は半日以内に収まることがほとんどです。さらに下痢もあれば急性胃腸炎(嘔吐下痢症)の可能性がかなり高いため、水分が摂れれば自宅で経過をみていただいてもかまいません。
    嘔吐+意識障害や血便、体重減少などある場合や1日以上経過しても嘔吐が持続する場合、ご家族がいつもと違うと感じる場合は受診してください。

    水分の摂取

    嘔吐の症状がひどい時は水分をとっても嘔吐するため少し時間を空け落ち着いてからスプーン1杯程度の水分から始めてください。吐き気止めを使用する場合は使用後30分程度空けてから水分を摂取してください。
    OS-1などの経口補水液が望ましいですが、嫌がるなら本人が欲しがるものをあげてください。

    よくある質問

    嘔吐しました。すぐに受診したほうがいいでしょうか?
    必ずしもすぐに受診する必要性はないかもしれません。1回嘔吐しすっきりした、又は気持ち悪いけど水分は摂れるようであれば、少しずつ水分を摂取することを心がけていただければ問題ありません。
    当院では診察、必要時超音波検査など行い原因検索と吐き気止めの処方が可能です。脱水がかなりひどい場合は点滴も考慮しますが、多くの場合は必要がないことが多いです。泣いても涙が出ない、尿が出ないなどあれば脱水の可能性があります。
    嘔吐+ほかの症状で心配な所見があれば教えてください。
    嘔吐+意識障害やけいれん、嘔吐+血便、嘔吐+体重減少があれば心配です。嘔吐+意識障害やけいれんがあれば、脳腫瘍や電解質異常、低血糖、腸重積などある場合があります。嘔吐+血便がある場合は、腸重積症や細菌性腸炎の可能性があります。嘔吐+体重減少がある場合では脳腫瘍や糖尿病などの可能性があり各々検査などを行い評価します。

    下痢

    下痢の原因はほとんど急性胃腸炎になります。急性胃腸炎は細菌性胃腸炎ウイルス性胃腸炎に分かれます。
    その他、マイコプラズマ感染症や突発性発疹、リンゴ病などのかぜ症状とともに軟便から下痢になることもあります。
    他には炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)や過敏性腸症候群、消化管アレルギー(食物蛋白誘発胃腸症)でも軟便から下痢になります。

    診察

    下痢の性状、回数、ほかの症状、持続期間、食事内容などが重要です。性状では柔らかい便なのか、水っぽい下痢なのか、血が混じっているか、色はどうかを確認します。
    実際に便を見せていただくことが最もいいですが、難しい場合は携帯で写真を撮っていただいても確認できます。
    • 水っぽい下痢 :ウイルス性急性胃腸炎が最も多いです。
    • 白っぽい便 :ロタウイルスやノロウイルスのウイルス性胃腸炎を考えます。
    • 血が混じった便 :細菌性腸炎、消化管アレルギー(食物蛋白誘発胃腸症)、炎症性腸疾患など便の色や所見により原因がわかることがあります。

    診察

    重要なのは体重が増えているか?
    ずっと下痢が続く赤ちゃんがよくいらっしゃいます。下痢が続いていても体重が増えていれば病的ではない可能性があります。
    体重が減る場合は、新生児、乳幼児は「消化管アレルギー(食物蛋白誘発胃腸症)や乳糖不耐症」、学童では「炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)」の可能性があります。

    下痢になったときにご自宅で気をつけること

    ▪︎便の性状を確認ください
    柔らかい便なのか、水っぽい下痢なのか、血が混じっているか、色はどうかなどが重要です。
    ▪︎脱水がないか注意してください
    泣いても涙がでない、口の中が乾燥している、半日以上尿がでていないなどあれば脱水の可能性が疑われます。
    ▪︎体重が増えているか確認ください
    体重が以前より減っていないか確認ください。体重が減っている場合は小児科を受診してください。

    登園、登校基準

    ウイルス性胃腸炎の場合は嘔吐や下痢が残存している場合は感染します。ウイルス性胃腸炎にノロウイルス、ロタウイルスが含まれるためノロ、ロタのいずれに診断されても登園、登校基準の変更はありません。トイレで排便がきちんとできる場合(つまり、オムツが取れている場合)は下痢の症状が軽くなったら登園、登校可能です。オムツの方は下痢がなくなったら登園可能です。

    よくある質問

    下痢の際にノロ、ロタウイルスの検査を受けたほうがいいですか?
    検査は不要です。治療は脱水症を改善することであり、原因により治療方針や隔離期間の変更がないためです。
    迅速検査を行う場合、ロタウイルスは全年齢で保険適応です。ノロウイルスは3歳未満、65歳以上が保険適応となりますが、それ以外は全額自己負担となります。食中毒や集団感染の原因検索は医療機関ではなく行政機関や研究機関で行っています。
    下痢が続く場合は受診したほうがいいですか?
    2週間以上持続する場合、慢性の下痢症となります。慢性下痢症の場合、血便の有無と体重減少があるかが非常に重要です。乳幼児であれば消化管アレルギー、学童前後になると炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)など心配な病気も鑑別にあがります。明らかに血便とわかる場合と便の検査で陽性になる場合がありますので2週間以上続く場合は受診するようにお願いします。

    ウイルス性胃腸炎

    胃腸炎は、ウイルスや細菌などが胃や腸に感染し、嘔吐や下痢、腹痛などの症状を引き起こす病気です。特にウイルス性胃腸炎は「おなかの風邪、はきくだし、嘔吐下痢症」とも呼ばれ、乳幼児から大人まで幅広く感染する可能性があります。

    症状

    多くの場合は嘔吐から始まり、半日から1日嘔吐が持続します。嘔吐に続いて下痢が見られることが多く、3日〜1週間程度続きます。赤ちゃんでは、下痢が⻑びくこともあります。

    原因

    主な原因はロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスなどがあります。
    ▪︎経口感染
    ・ノロウイルスに汚染された食品を加熱不十分で食べた場合
    ・感染した人が調理し、ウイルスに汚染された食事をとった場合
    ▪︎接触感染
    ・感染者が吐いたものを直接手で触れた場合
    ノロウイルスなど感染力が強いものは感染者がトイレの後に触れたドアノブなどからも感染する可能性があります。

    治療

    ウイルス性胃腸炎には、特別な治療方法はありません。主な治療方法は、脱水を防ぐためのこまめな水分補給・安静・整腸剤内服などの対症療法となります。
    重度の脱水(体重の9%以上の脱水)の場合、下記のような所見があり点滴加療を検討しますが、軽症〜中等症の場合(重度ではない場合)は点滴よりも口から飲むことがガイドラインでも推奨されています。
    • 意識状態が悪い
    • 経口摂取することができない
    • 頻脈
    • 口の中が乾ききっている
    • 皮膚のしわが戻るのに時間がかかる
    • 爪を5秒以上押した後、色調が戻るまで時間がかかる
    • 尿がほとんどでない

    水分・食事の取り方

    水分

    吐いた後、すぐに水分を取ると再度吐いてしまいます。
    1〜2時間おなかを休めた後に、最初は1回mL程度(ティースプーン1杯程度、ペットボトルのキャップ3/4程度)の量を10〜15分間隔で水分補給しましょう。この時にお子さまが欲しがるからと言ってコップでお水をあげてしまわないよう注意しましょう。「少量頻回」の方法で水分補給を行っていても嘔吐する場合は、吐き気止めの坐薬を使ってみましょう。座薬を入れてから30分〜1時間は「飲食をしない」ようにし、時間をおいて「少量頻回」の水分補給を行ってみましょう。水分補給には経口補水液も効果的です。
    水分摂取するものはOS-1やアクアライトなどが推奨されますが、飲めないお子さまが多いです。嫌がる場合はリンゴジュースやみそ汁、野菜スープ、チキンスープなどがいいとされています。母乳は中断する必要はなく、むしろ母乳を併用したほうが下痢の治癒、栄養改善に効果があるといわれています。

    食事

    水分が問題なくとれるようになればミルクや食事は速やかに開始してください。むしろ食事制限することは推奨されていません。ミルクは希釈しても下痢回数や治癒期間に影響しない事からいつものミルクを推奨します。食事はいつも通りで構いませんが「脂肪が多い食事」「糖分が多い飲みもの、炭酸飲料」は避けることが望ましいです。
    ご心配な場合はおかゆや温かいうどんから始めることもよいかもしれません。

    自宅でできる感染予防

    「自宅でできる感染予防」「おむつや汚染された衣類の次亜塩素酸消毒剤での消毒」が最も重要です。
    ノロウイルス、ロタウイルスの感染経路は、人あるいは環境表面などを介した経口(糞口)感染で、伝搬経路は接触感染です。非常に感染力が強く、使用したタオルやドアノブなどにも付着し感染します。
    そのため以下が感染予防に有効です。
    • タオルは共有しない
    • 入浴は最後にする
    • トイレはふたを閉めて流す
    • トイレのドアノブは消毒する
    消毒の次亜塩素酸消毒剤は500mLのペットポトルにキャップ2杯分(10mL)のハイターを入れると作成できます。誤飲しないように必ず注意書きをし、小さなお子さまの手の届かないところで保存してください。

    嘔吐物・便の処理方法

    準備するもの

    • 使い捨てマスク、使い捨て手袋
    • 次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系消毒剤や家庭用塩素系漂白剤(ハイターなど)
      ・濃度50倍希釈:水500mlに対して漂白剤10ml(ペットボトルのキャップ約2杯分)
      ・濃度250倍希釈:水500mlに対して漂白剤2ml(小さじ1杯は約5mlなので、小さじ半分が約2.5ml)
    • 拭き取り用の雑巾(古布、古新聞など)
    • 大きめのビニール製ゴミ袋

    処理手順

    ▪︎便や嘔吐物の処理
    STEP
    換気
    まずは、窓を開けて換気を十分に行います。
    STEP
    感染防止
    処理を行う方は、使い捨てマスクと手袋を着用します。もしあれば使い捨てエプロンも着用しましょう。
    STEP
    便・嘔吐物の処理
    便や嘔吐物の上に、捨てても良い布やペーパータオルをかぶせ、汚染場所を広げないよう、外から中心に向かって拭き取ります。(吐物中心に半径2m)
    STEP
    消毒
    50倍希釈の塩素系漂白剤で、嘔吐物や便が不着した場所を十分に濡らすように拭き取り、その後水拭きしてきれいに拭き取ります。床の他にも、お子さまが触れた可能性のある場所(ドアノブ・テーブルなど)も忘れずに消毒しましょう。金属部分には250倍希釈の漂白剤を使用し、30分後に水拭きします。
    STEP
    廃棄
    便や嘔吐物の処理に使用したタオルや手袋などは全てゴミ袋に入れてしっかり口を結び可燃ゴミとして処分します。
    STEP
    手洗い・うがい
    処理後は必ず手洗い・うがいを行います。手洗いは石けんで丁寧に洗い、30秒以上流水で流しましょう。
    ▪︎嘔吐物で汚れた服のお手入れ
    50倍に薄めた塩素系漂白剤に30分漬け置きした後、通常の洗濯をします。ものによっては色落ちする可能性がありますので、目立たない部分で試してから行いましょう。もしくは、85度以上のお湯で1分以上洗濯します。素材によっては縮む場合がありますのでご注意ください。

    登園、登校基準

    おむつが外れてトイレで排便ができる場合は嘔吐がなくなるまで、
    おむつで排便する可能性がある場合は、嘔吐・下痢をしなくなるまでは登園、登校できません。

    よくある質問

    経口補水液とは何ですか?
    経口補水液とは、体内で失われた水分や塩分などを補給しやすいように成分を調整した飲み物です。経口補水液には、「OS-1」や「アクアライトORS」などが推奨されますが飲めないお子さまが多いです。嫌がる場合はリンゴジュースやみそ汁、野菜スープ、チキンスープなどがいいとされています。
    母乳を与えてもよいですか?粉ミルクは薄めたほうがよいですか?
    母乳は中断する必要はなく、むしろ母乳を併用したほうが下痢の治癒、栄養改善に効果があるといわれています。ただし、嘔吐した直後は胃腸を休める必要があるため1〜2時間は授乳を控えるようにしましょう。母乳自体は胃腸には良いのですが、母乳は1回に飲む量が調節しづらいため、1回の授乳時間をいつもより短くする、搾乳して少量ずつ与えるなどで工夫しましょう。粉ミルク場合、濃さは普段通りで良いですが、1回に与えるミルク量は少なめにしておきましょう。
    お腹を休めたうえで、「少量頻回」に水分を与えても吐いてしまう場合はどうしたらよいですか?
    少量頻回の水分摂取を行っても嘔吐が続く時は、ご自宅で我慢せず医療機関を受診しましょう。
    ウイルスの検査は必要ですか?
    検査は不要です。治療は脱水症を改善することであり原因により治療方針の変更がないためです。迅速検査を行う場合、ロタウイルスは全年齢で保険適応です。ノロウイルスは3歳未満、65歳以上が保険適応となりますが、それ以外は全額自己負担となります。食中毒や集団感染の原因検索は医療機関ではなく行政機関や研究機関で行っています。

    便秘

    便秘とは便がとどこおった、または便が出にくい状態です。また、便秘症とは便秘またはそれによる症状が現れ、診療や治療が必要な場合です。
    子どもの場合はうんちが出るときの痛みで泣く状態、踏ん張っても排便できない状態は便秘に該当します。

    便秘(小児慢性機能性便秘症)の診断基準

    便秘の診断は国際的に用いられる診断基準では以下のように示されています。

    4歳未満の小児

    以下の項目が少なくとも2つ以上あり、1か月以上あること
    • 1週間に2回以下の排便
    • トイレトレーニングが完了した児が、少なくとも週に1回に便失禁する
    • 過度の便の貯留
    • 痛みを伴う、あるいは硬い便通の既往
    • 直腸に大きな便塊の存在
    • トイレが詰まるくらい大きな便の既往
    以上に付随して、怒りっぽい、食欲の低下、お腹いっぱいになりやすく食事量が少ないなどがあり大きな排便があれば治る乳児の場合は排便が週2回以下、あるいは硬くて痛みを伴う排便で、かつ診断基準のうち少なくとも1つ以上当てはまる場合、便秘だとみなされます。

    4歳以上の小児

    以下の項目の少なくとも2つ以上あり、過敏性腸症候群の基準を満たさないこと
    • 1週間に2回以下のトイレでの排便
    • 少なくとも週に1回の便失禁
    • 便を我慢する姿勢や過度の自発的便の貯留の既往
    • 痛みを伴う、あるいは硬い便通の既往
    • 直腸に大きな便塊の存在
    • トイレが詰まるくらい大きな便の既往
    診断を行う前の少なくとも2か月にわたり、週1回以上基準を満たす場合、便秘だとみなされます。しかし、臨床上必ずしも満たす必要はないので排便が週に2回以下で排便時に痛みがある場合はご相談ください。

    便秘の頻度

    日本の小児の便秘の頻度に関する報告は少ないですが、広島市の小学生の調査によると、排便が週3回未満の方は、調査対象の児童の18.5%(男児:13.2%、女児:24.1%)という報告があります。その他、小学生の便秘の頻度は5.7%、女子高校生の便秘の頻度は31.9%というような報告もありますが、日本での便秘の頻度を表すにはまだ報告が少なく頻度は不明となっています。

    便秘に注意が必要な時期

    子どもの便秘を発症しやすい時期は下記の時期が多く、最も多いのはトイレットトレーニングの開始時期です。
    • ⺟乳から⼈⼯乳に移行するとき、もしくは離乳食の開始時期
    • トイレットトレーニングの開始時期
    • 小学校通学後

    便秘の合併症

    便秘が重度の場合は尿がたまる膀胱を圧迫するため尿路感染症やおねしょ、排尿障害などを起こすことがあります。

    当院の便秘の診療について

    前述の診断基準を満たすのか確認を行います。しかし、診断基準に合致するかよりも排便に困っているかが重要なため身体所見や検査所見も加味し判断します。以下の症状がある場合は何か原因がある可能性があります。
    • 産まれて最初に出る排便(胎便)が⻑引く場合
    • 身⻑が伸びにくい、体重が減る
    • 何度も嘔吐を繰り返す
    • 血便
    • 下痢
    • お腹が張っている
    • お腹にしこりがある
    • おしりの穴の場所がずれている
    • 仙骨部の皮膚のへこみがある、もしくは排尿の問題がある
    上記に該当する場合は便秘の治療よりも原因の検索を進めていきます。基礎疾患の可能性がなければ慢性機能性便秘症としての治療を行います。慢性機能性便秘症の治療はまずは便の塊があるかどうかを判断します。判断のためには診察所見や超音波検査、場合によってはレントゲン検査も考慮します。便塊があれば浣腸により便塊除去を行います。その後、便秘でない状態を維持する維持治療を行います。治療の目標は「便秘ではない状態」になり、それを維持することです。

    維持療法

    維持療法は便が詰まっていない状態もしくは便が詰まっているが除去が完了した後の治療です。
    ▪︎生活・排便習慣
    • トイレに行きたくなったら我慢せずにすぐに行きましょう
    • ゆとりのある時間に、トイレに座ってみましょう
    • トイレットトレーニングは便秘が治ってから始めましょう
    ▪︎食事療法
    • 食物繊維を摂りましょう
    • ジュースやおやつではなく食事をしっかり摂りましょう
    ▪︎薬物療法
    浣腸や薬は癖にはなりません
    困っている場合は治療しましょう。便を柔らかくする薬や腸の動きをよくする薬などあります。便秘の治療は⻑時間続きますが便秘でない状態が維持できれば薬は減らせることが多いです。お薬の減量、中断が早すぎるとしばらくして元の状態に戻ってしまうことがあるのでしっかり治療しましょう。

    よくある質問

    便秘の診断はどのようにしますか?
    週2回以下(週3回未満)の排便であれば便秘の可能性があります。また、排便の時に泣く、痛がる、踏ん張っても排便できないなどあれば便秘の可能性があります。
    便秘に該当するかもしれませんが治療したほうがいいですか?
    治療には生活、排便、食事指導など薬物を使用しない治療と薬物療法があります。以下の場合は薬物を用いても早く治療したほうがいい所見であり早めに受診をお勧めします。
    • トイレットトレーニングが終わったのに便を漏らすがある
    • 便意があるときに足を交差させるなど我慢する動きをする
    • 排便の時に肛門を痛がる
    • 排便回数が週に2回以下
    • 排便の時に出血する
    • 腹部レントゲン所見で結腸や直腸が拡張している

    過敏性腸症候群

    過敏性腸症候群とはお腹の不快感や痛みがあり、それに関連して便秘や下痢などの異常があるときに最も頻度の多い疾患です。あわせて、器質的疾患(潰瘍性大腸炎や細菌性腸炎などの原因)がないことも重要です。日常生活に支障がある場合には治療介入が必要です。

    原因

    腸の動きと脳は関連しておりストレスなどを感じると大腸の動きは激しくなります。腸の運動が激しくなると脳の知覚が過敏な状態となり痛みを感じやすくなります。

    種類

    過敏性腸症候群はいくつかの病型があります。各々の特徴は以下の通りです。
    ▪︎反復性腹痛(RAP)型
    • 何度もおへその近くの腹痛がある
    • 朝起きた時に症状が強くなり⻑時間トイレにこもることが多い
    • 午後は自然におなかの痛みがなくなる
    • 思春期前に多い
    ▪︎便秘型
    • 下剤を使わなければ全く便意が生じない
    • 便意は頻回にあるにもかかわらず実際には排便できない
    • 女子に多い
    ▪︎下痢型
    • 朝起きてすぐにお腹の不快感や痛みがあり便意が始まり、何回もトイレに行くがすっきりせず、排便できても症状が良くならない場合がある
    • 朝は苦痛の多い時間となる
    • 男子に多い
    ▪︎ガス型
    • おならやおなかが鳴る、おなかが張った感じありガスに対する苦痛や不安がある
    • 静かで狭い教室内で症状は強くなる
    • 圧倒的に女子に多く、20歳代で改善する方が多い

    診断

    腹痛が2週間以上続く場合は、原因となる疾患が無いかの確認が必要です。

    過敏性腸症候群チェックリスト

    以下の症状がある場合は何か原因が隠れている可能性があります。これらの所見がある場合は早めに受診してください。所見によっては専門施設に紹介させていただきます。
    • お腹の右上もしくは右下の痛みが続いている
    • お腹の痛みで睡眠が妨げられる
    • 原因が不明の発熱がある
    • 関節が痛い
    • 飲み込みづらいことがある
    • 吐くことが続いている
    • おしりの穴の周りに疾患がある(痔瘻孔、肛門周囲膿瘍なし)
    • 血便がある
    • 夜間の下痢がある
    • 体重が減った、⾝⻑が伸びなくなった
    • 二次性徴(思春期に現れる男性・女性の⾝体的特徴の変化)が来ない
    • 炎症性腸疾患や消化性潰瘍、消化管ポリポーシスの家族歴がある
    • 免疫不全や小児がんで治療した既往がある
    所見がない場合は経過を確認しながら検査を進めていきます。また、日常生活に支障がある場合は薬物療法を検討します。

    予防

    過敏性腸症候群はストレスや生活習慣が関連します。
    • 睡眠を十分にとりましょう
    • 食事には気を付けましょう
      特に脂肪の多い食事、香辛料、カフェインなどは避けましょう
    • 適度な運動を行いましょう

    よくある質問

    お腹が痛くなりやすいです。受診したほうがいいですか?
    過敏性腸症候群は潰瘍性大腸炎など原因となる疾患がない排便と関連のある疾患です。いずれかに当てはまる場合は受診をお勧めします。
    • お腹の右上もしくは右下の痛みが続いている
    • お腹の痛みで睡眠が妨げられる
    • 原因が不明の発熱がある
    • 関節が痛い
    • 飲み込みづらいことがある
    • 吐くことが続いている
    • おしりの穴の周りに疾患がある(痔瘻孔、肛門周囲膿瘍なし)
    • 血便がある
    • 夜間の下痢がある
    • 体重が減った、⾝⻑が伸びなくなった
    • 二次性徴(思春期に現れる男性・女性の⾝体的特徴の変化)が来ない
    • 炎症性腸疾患や消化性潰瘍、消化管ポリポーシスの家族歴がある
    • 免疫不全や小児がんで治療した既往がある

    疾患が隠れていないかの確認のためには当院で行っている検査

    便の検査で潜血の有無や細菌感染の有無や必要時は炎症性腸疾患のマーカーを確認します。超音波検査で胃腸炎などの所見がないかを確認します。疾患が隠れていないかの確認するために有用な検査は内視鏡検査です。しかし、内視鏡検査を行うことは成人に比してハードルが高いです。そのため経過と重症度を踏まえ当院でお子さまに応じて方針を決定していきます。

    腸重積

    私たちの体の中では、食べ物を運ぶために消化管がミミズが這うような波の動きをしており、この動きをぜんどう運動(蠕動運動)と呼びます。蠕動運動で動く腸管が腸管と重なり挟んだ状況を腸重積と言います。挟まった腸管の部分は首を絞められたような状態で血が流れない状態になっています。この状態が続くと腸管が壊死してしまう可能性があるため、緊急性の高い疾患です。

    特徴

    腹痛、嘔吐、血便ですが3つとも揃う例は10〜50%程度と少ないです。
    ▪︎腹痛
    腹痛は陣痛のように15分から20分程度の間隔があり痛がっている時と痛がっていない時を繰り返します。
    ▪︎嘔吐
    嘔吐は食べたもののかたちが残るようなものを嘔吐することが多いです。緑色の吐物は腸重積を含む緊急疾患の所見です。
    ▪︎血便
    血便は腸重積の最初の症状としては少ないです。しかし、イチゴジャム状の血便は腸重積症の特徴です。
    自宅で血便があれば写真を撮ってください、インターネットなどで検索すると参考写真が出てきます。臨床症状のみで診断が困難な場合は浣腸を行うことも有用とされており、浣腸をする場合もあります。

    診断

    臨床経過、診察所見や超音波検査を用いて判断します。臨床経過は特徴的な腹痛(15分から20分間隔で痛い時期がある陣痛のような痛み)がある、イチゴジャム状の血便がある場合は積極的に疑いますが、症状の始めに揃うことは少ないです。診察では、おなかに腫瘤を触れる事はれものがある場合がありますが診断的意味は少ないと言われています。超音波検査は感度(発見率)、特異度(腸重積症ではないと確認できる割合)は非常に高いです。臨床症状から疑わしい場合は超音波検査を実施します。

    治療

    治療は点滴での全身管理を行った後に、非観血的整復術または観血的整復術を行います。簡単に言えば非観血的整復術は内科的な治療、観血的整復術は手術です。腸管の重積(挟まった状態)が⻑いと腸管が壊死したり、腸が穿孔する(⽳があく)可能性があるためできる限り早めの診断・治療が必要です。治療は大きな病院で行う必要があるので診断、強く疑う場合は紹介させていただきます。

    よくある質問

    腸重積症の症状を見て一致するのではないかと心配です。
    症状を疑う場合は緊急受診が必要です。当院をすぐに受診できない場合は大きな病院に受診も検討ください。救急病院は夜間でも受診が必要です。全身状態が悪い、又は発症から48時間が経過している場合は腸が腐ってしまう可能性があります。症状発症から早いほうが内科治療での改善率も良く手術を回避できます。