皮膚の症状

水いぼ

水いぼは、伝染性軟属腫とも呼ばれ、ウイルス感染が原因の皮膚の感染症の一つです。6か月から⻑くて3年までに自然消失します。とびひやいぼと勘違いされやすいですが、それぞれの違いは次のように覚えていただくと分かりやすいかと思います。
  • とびひ:プールの水ではうつりませんが、かきむしった部分からにじみ出た液や水疱によってうつるため、プールや水泳は治るまで控えましょう。
  • みずいぼ:プールの水ではうつらないため入っても構いません。ただし、タオル、浮き輪、ビート板を介してうつる場合があるため共用は避けるようにしましょう。こどもに多く、表面はつるつるしています。いぼと原因となるウイルスが違います。
  • いぼ:年齢を問わず見られ、表面はざらざらしていることが多いです。水いぼと原因となるウイルスが違います。

症状

水いぼは、いぼができる以外に特に症状は見られませんが、最初は2〜3個だけでも一気に広がることがあります。気づいた時点で、まずは受診するようにしましょう。水いぼには下記のような特徴があります。
  • 表面がつるつるしている
  • いぼの大きさは1〜5mm程度
  • 肌の色と同じ色味のいぼ、中身が白っぽくみえる
  • 胸やお腹、背中、関節など全身に広がる

原因

ポックスウイルスというウイルスへの感染が原因となります。接触感染が主な感染経路で、プールなどの肌が触れ合う場ではタオルや水着、ビート板や浮き輪の共用を控えるなどの配慮が必要です。

治療

水いぼは、6か月〜3年程度かけて自然経過でおさまります。しかし自然治癒までは⻑い時間がかかるため、治療中に水いぼを掻いてしまったり、こすれて水いぼが破れることで、ウイルスを含んだ滲出液が別の部位の肌について新しい水いぼができてしまいます。治るまで⻑引いたり、かゆみがあったりして気になる場合や、しつこく繰り返す場合には、以下の治療を検討します。

摘除治療

特殊なピンセットを使用して、水いぼをウイルスごと摘除します。摘除する時に痛みを伴うため、数が多い場合や痛みが我慢できないお子さまの場合には検討が必要です。また、当院では摘除治療を実施しておりませんのでご希望される場合は皮膚科にてご相談ください。

痛くない水いぼ治療(銀イオンクリーム)

できれば早く治してあげたいという場合には、M-BFクリームという水いぼ治療クリームをおすすめしています。銀を配合したM-BFクリームをご使用いただくことで、2か月前後で水いぼの部分が赤くなりその後1か月前後で水いぼが消えていきます。約8割の方が治療開始から3か月前後で治癒を期待でき、痛みがありません。自宅で簡単に治療ができるクリームですので、痛みに敏感なお子さまであればクリームでの治療もご検討ください。自費にはなりますが、院内にて販売しております。(※税込2,200円)

とびひ(伝染性膿痂疹)

とびひは、医学的には「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」と呼ばれ、⻩色ブドウ球菌や化膿連鎖球菌といった細菌が皮膚の傷口から感染することで起こる皮膚感染症です。特に夏場のこどもに多く見られる感染症で、放置すると広がりやすく、早期の対応が重要です。小さな傷や虫刺されの跡、アトピー性皮膚炎による湿疹など、皮膚のバリア機能が低下している部分から感染しやすいため、特に抵抗力の弱い乳幼児に多く見られます。名前のとおり、患部が皮膚の表面を「飛び火」のように広がっていくのが特徴です。水ぶくれができるタイプと、かさぶたができるタイプがあり、症状は様々です。

症状

とびひの症状は、細菌の種類や感染の程度によって異なります。⻩色ブドウ球菌による感染では、最初は小さな水ぶくれ(水疱)ができ、それが破れて⻩色い滲出液がでます。周囲に新しい水ぶくれが次々とでき、広がっていくのが特徴です。強い痒みを伴うため、掻きむしることでさらに広がる可能性があります。一方、化膿連鎖球菌による感染では、膿疱(のうほう)ができ、その後かさぶた状になります。高熱を伴うこともあります。いずれの場合も、患部は赤く腫れ、痛みや痒みを感じることが多いです。

原因

とびひの原因は、⻩色ブドウ球菌や化膿連鎖球菌などの細菌です。これらの細菌は、皮膚の小さな傷や擦り傷、虫刺されの跡などから侵入し、増殖することで炎症を起こします。アトピー性皮膚炎など、皮膚のバリア機能が低下している状態では、細菌が侵入しやすいため、とびひになりやすいです。こどもは痒みを我慢できずに搔きむしってしまうことがあるため、かゆみの原因を放っておかずに早めに治療することが重要です。また、爪が⻑いと皮膚に傷がつきやすくなるため定期的に爪を切り短い状態を保つようにしましょう。

治療

とびひの治療は抗菌薬を含んだ軟膏を使用します。範囲や炎症がひどい場合は飲み薬の抗生剤を使用する場合もあります。かゆみも伴う場合はかゆみ止めを使用しひっかき悪化することを防ぎます。放置すると悪化する可能性があり早めに受診することをお勧めします

予防

とびひの予防には、清潔な環境を保つことが重要で、下記が3つが効果的です。
  • こまめな手洗い
  • 爪の短く切る
  • 傷口を清潔に保つ
また、虫刺されやかゆみのある部分を掻きむしらないように注意し、アトピー性皮膚炎など、皮膚の疾患がある場合は、適切なスキンケアを行うことで、皮膚のバリア機能を高めることができます。家族内での感染を防ぐために、タオルや衣類の共有を避け、患部を触った後は必ず手を洗いましょう。とびひは感染症であるため、早期発見と適切な処置が重要です。お子さまが身体を掻きむしっていたり、できものをしきりに気にしている様子がある場合は、小児科を受診しましょう。

よくある質問

とびひはいつ治りますか?
とびひの治癒期間は、患部の広さ、重症度、そして治療への反応によって大きく異なります。軽症であれば、適切な治療(抗菌薬の塗り薬や内服薬)を行えば、通常1週間から2週間程度で治癒します。しかし、重症の場合や、治療開始が遅れた場合は、治癒までに数週間かかることもあります。また、お子さまの免疫力や体質によっても治癒速度は異なります。掻きむしる行為によって症状が悪化し、治癒が遅れる場合もありますので、掻かないように注意することが大切です。治癒の目安としては、患部の赤み、腫れ、水ぶくれなどが消失し、かさぶたも剥がれ落ちることです。完全に治ったかどうかは、医師の診察を受けて最後まで確認することをおすすめします。
とびひはうつるのですか?家族にもうつりますか?
はい、とびひはうつる可能性があります。とびひの原因となる⻩色ブドウ球菌や化膿連鎖球菌は、接触によって感染します。患部から出た滲出液や膿が、直接皮膚に触れることで、家族や周りの人に感染する可能性があります。特に、小さなお子さま同士では、触れ合う機会も多いので、注意が必要です。感染を防ぐためには「患部を清潔に保つ」「患部を触らない、掻かないようにする」「タオルや食器などの共有を避ける」といったことが大切です。また、お子さまがとびひにかかった場合は、家族も注意深く自分の皮膚の状態を観察し、気になる症状があればすぐに受診しましょう。

あせも

あせもは、医学用語では「汗疹(かんしん)」と呼ばれます。たくさん汗をかくことによって汗の出口「汗管(かんかん)」という小さな穴を通り抜けることができず、皮膚の中に溜まってしまうことで起こります。大量の汗をかいた後、汗が皮膚の表面で蒸発せずに滞留し、皮膚表面に透明なぷつぷつや赤み、かゆみが生じる皮膚トラブルです。あせもは大人でもできることがありますが、代謝の良い赤ちゃんやこどものほうができやすい傾向にあります。特に高温・多湿で汗をかきやすい「夏」はあせもになりやすく、たくさん汗をかいた後で急に症状が出るのが特徴的です。

原因

▪︎汗腺が多い
大人に比べて、赤ちゃんやこどもは身体の表面積は小さいものの、汗を作る「汗腺(かんせん)」と汗管の数は大人と同程度あるため、相対的に大人よりも汗をかきやすいです。また、小さいお子さまであれば、代謝も良いため、一度に大量の汗をかくことによって皮膚トラブルを起こしやすくなります。
▪︎皮膚がデリケート
赤ちゃんやこどもは大人に比べて皮膚の厚みが3分の1ほどしかないため刺激に対して非常にデリケートです。特に汚れや汗の成分による刺激に弱く、皮膚トラブルを起こしやすい性質があります。
また、あせもに似た「汗かぶれ」にも注意が必要です。汗かぶれは、接触皮膚炎(せっしょくひふえん)の一種で、汗に含まれる尿酸やアンモニアによる刺激や蒸れ、擦れなどの物理的な刺激により皮膚が荒れて、いわゆるかぶれを起こす皮膚トラブルです。皮膚のバリア機能が弱く、デリケートな赤ちゃんやこどもは汗かぶれにもなりやすいため注意が必要です。
赤ちゃんやこどもの場合、軽度の炎症でも違和感を覚え、患部を触ったり、かゆみを我慢できずに掻き壊してしまうことが少なくありません。そのため、「これぐらいならまだ大丈夫かな」と思わずに気になる炎症や水疱(透明なぷつぷつ)があれば一度受診ください。

あせもの種類

あせもの種類は、主に2種類あります。この2種類の汗疹の違いは、汗の詰まりが起きる深さです。

水晶様汗疹(すいしょうようかんしん):白いあせも

水晶様汗疹(白いあせも)は、皮膚の浅いところで汗が詰まることによって起きる軽度のあせもです。皮膚の表面、ごく浅い部分に汗が溜まり、直径数ミリの透明な小さな水ぶくれができます。痛みやかゆみはほとんどなく、見た目も比較的分かりやすいのが特徴です。皮膚が赤くなることもないため、「白いあせも」と呼ばれています。

紅色汗疹(こうしょくかんしん):赤いあせも

紅色汗疹(赤いあせも)は、皮膚のやや深い部分に汗が溜まり、1〜2ミリ程度の赤い発疹ができます。赤み、ヒリヒリ感、強い痒みを伴うことが多く、掻きむしると炎症が拡大し、症状が悪化することがあります。
さらに、あせもに似た症状として、汗かぶれ、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎などが挙げられます。特に赤ちゃんの症状は見分けるのが難しいため自宅で判断せずに気になる症状があればご相談ください。症状が⻑引く場合や、広範囲に広がる場合、強い痛みやかゆみがある場合などは、すぐに医師の診察を受けましょう。

あせもができやすい部位

あせもができやすいのは汗腺が密集し、汗をかきやすい部位です。赤ちゃんの場合は特に下記のような場所にできやすいです。
  • 頭全体(特に寝具と接触している後頭部)
  • 首すじ
  • 「ひじ」や「ひざ」の関節の内側
  • 寝かせている場合は寝具と接触している背中
  • ウエスト
  • おむつの中(特にVラインやお尻側)

治療

基本的にはスキンケアを見直します。特に水晶様汗疹(白いあせも)は正しいスキンケアを行えば自然と治ることが多いため、衣類や寝具を清潔に保ちましょう。紅色汗疹(赤いあせも)の場合は症状の強さに合わせたステロイドを処方します。

日常生活で気を付けること

あせもは汗腺が密集するくびや関節の内側、赤ちゃんであれば寝具と接触する部分で起こりやすいため、蒸れないよう通気性のよい服や寝具を使用するなどで工夫しましょう。また、汗をかいたらこまめに拭いてあげるようにしましょう。

虫刺され

虫刺されとは、蚊、ダニ、ノミ、ハチなど様々な虫に刺されたり、噛まれたりすることで起こる皮膚の炎症反応です。虫の種類によって症状は異なり、軽い腫れやかゆみから、激しい痛みや腫れ、アレルギー反応まで様々です。お子さまの場合、大人と比べて皮膚が薄いため、同じ虫に刺されても腫れが大きく、かゆみが強い傾向があります。また、刺されたことに気づかず、数日後に症状が現れることもあります。

虫の種類と症状

虫刺されの原因となる虫は様々ですが、ここでは代表的な3種類について説明します。

蚊の刺し傷は、赤く腫れ、激しいかゆみを伴います。多くの場合、数時間で症状は治まりますが、掻きむしると炎症が悪化し、傷跡が残る可能性もあります。特に乳幼児では、刺されてから数日後に症状が現れる遅延型反応が多いです。

ダニ

ダニは、皮膚に潜り込んで吸血するため、刺されたことに気づきにくい場合があります。数日後に、赤く硬い小さな腫れ(丘疹)ができ、激しいかゆみを伴います。マダニの場合は、吸血後に発熱や発疹などの全身症状が現れることもあります。ダニの種類によっては、重症な感染症を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。

ハチ

ハチに刺されると、激しい痛みと腫れ、赤みを生じます。ハチ毒に対するアレルギー反応を起こす可能性もあり、アナフィラキシーショックなど、命に関わる危険性も存在します。刺された直後に激しい痛みや腫れ、呼吸困難、めまいなどの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

季節と虫の種類

虫の種類は季節によって異なります。
  • 春〜夏:蚊、ブユ、アブなどが活動し、公園やキャンプ場などで刺される機会が増えます
  • 秋:ハチ、スズメバチなどが活発になり、注意が必要です
  • 冬:室内が暖かく湿度が高い場合、ダニやノミの活動が活発になります

治療

虫刺されの治療は、症状の程度によって異なります。軽い腫れやかゆみであれば、自然治癒する場合もあります。しかし、かゆみが強く掻きむしるとその場所から感染を起こし、とびひにつながる可能性もありますので、かゆみが強い場合やかゆみの範囲が広い場合はかゆみ止めや炎症を抑える軟膏が有効です。ハチに刺された場合や、重篤なアレルギー反応が疑われる場合は、すぐに小児科を受診してください。掻きむしることで症状が悪化するため、爪を短く切る、患部を冷やすなどの対処も重要です。

予防

虫刺されを防ぐためには、以下の対策が有効です。
▪︎肌の露出を少なくする
⻑袖、⻑ズボン、帽子などを着用することで、虫に刺されるリスクを軽減できます。
▪︎虫よけスプレーを使用する
肌の露出部分に虫よけスプレーを塗布することで、虫を寄せ付けにくくします。乳幼児への使用には注意が必要なので、医師に相談することをお勧めします。
▪︎環境整備
家の中にダニやノミがいないように、掃除をこまめに行い、ペットの毛の掃除なども徹底しましょう。
▪︎草むらに入る際は注意
草むらにはダニや蚊などが潜んでいることが多いので、なるべく避けるか、⻑袖・⻑ズボンを着用し、虫よけスプレーを十分に使用するなど、注意が必要です。

よくある質問

虫刺されで、腫れがひどいのですが、いつ病院を受診すべきですか?
虫刺されの腫れは、虫の種類やお子さまの体質によって程度が異なります。通常、蚊などによる軽い虫刺されであれば、数日で腫れも引いていきます。しかし、以下の様な場合は、すぐに小児科を受診することをお勧めします。
▪︎腫れが非常に大きく、広範囲に広がり、熱も高い場合
蜂窩織炎(ほうかしきえん)などの細菌感染を起こしている可能性があります。
▪︎腫れが数日経っても引かず、むしろ悪化している場合
感染症やアレルギー反応の可能性があります。
▪︎激しい痛みを伴う場合
ハチに刺された場合など、毒による強い炎症の可能性があります。
▪︎発熱や倦怠感などの全身症状を伴う場合
重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)の可能性があります。これは非常に危険な状態なので、一刻も早く受診してください。
▪︎刺された部位に膿が出ている
二次感染を起こしている可能性があります。
▪︎お子さまが乳幼児で、腫れが強い
乳幼児は皮膚が薄いため、大人よりも腫れやすい傾向があります。様子見せずに、早めに受診することが安心です。症状が軽症だとしても、ご心配な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
虫刺されのかゆみを抑えるにはどうすれば良いですか?市販薬は使っても大丈夫ですか?
虫刺されによるかゆみは、お子さまにとっては大人よりも我慢しがたいものです。まず、掻かないことが大切です。掻きむしると、炎症が悪化し、傷跡が残ったり、二次感染を起こしたりする可能性があります。かゆみを抑えるには、以下の方法が有効です。
▪︎冷やす
患部を冷やすことで、かゆみと腫れを軽減することができます。氷のうや冷湿布などを使いましょう。
▪︎軟膏を使用する
抗ヒスタミン剤配合の軟膏やクリームは、かゆみ止めとして効果があります。しかし、症状が悪くなってくる場合は程度により治療が異なるため受診しましょう。
▪︎抗ヒスタミン剤の内服薬
かゆみが強い場合や、範囲が広い場合は内服での治療がよい場合もありますので受診しましょう。

おむつかぶれ

おむつの中は蒸れやすく、⻑時間おしっこや便がおむつの中にいると皮膚のバリア機能が障害され、さらにおしっこやうんちの成分が刺激となり湿疹を起こします。おむつの中で起こす湿疹は、「おむつ皮膚炎」だけではなく、「下痢による接触性皮膚炎」「乳児皮膚カンジダ症」などがあり注意が必要です。

おむつかぶれとカンジダの違い

おむつかぶれは肌がこすれることで起こる炎症ですが、カンジダはおむつの中に「カンジダ」というカビが発生することで起きる疾患です。治療方法は異なりますが、症状の出始めは判別が難しい場合もあります。
  • おむつかぶれ:患部を清潔にし、蒸らさないように通気性を良くします
  • カンジダ:カビの感染によるものですので、抗真菌剤を塗布します
いずれもかゆみや痛みを伴うため早めの受診と数日しても改善しない場合はこまめな受診をお願いします。

原因

  • 皮膚の防御機能が未熟
  • おしっこやうんち
  • 汗や蒸れ
  • おしりふきの摩擦による刺激

受診の目安

おむつかぶれはかゆみや痛みがあるためよく眠れなかったり、不機嫌な時間も増えていきます。おしりが赤ければ早めに受診して治しましょう。下記のような症状がある場合は特に受診が必要です。
  • おしりが赤い状態が続いている
  • おしりをふいたら痛がって泣く
  • 入浴時、おしりにお湯をかけたら激しく泣いた
  • おむつをはずすと、かゆがっておしりを触ろうとする

日常生活で気を付けること

▪︎おむつはこまめに交換する
尿や便の成分が皮膚への刺激となり炎症を起こす場合があります。できるだけお尻周りを清潔かつ渇いた状態に保つようにしましょう。
▪︎お尻は優しく拭く
ゴシゴシと強い力で拭いてしまうと皮膚を傷つけてしまう可能性があります。水分を含んだお尻拭きで優しく押すように拭くことがポイントです。
▪︎お風呂上りはしっかり乾かす
おむつの中は蒸れやすいため、お風呂上りに拭き残しがあるままでおむつを履かせると蒸れから皮膚が刺激に敏感な状態になる恐れがあります。そのため、お風呂上りには身体全体を丁寧に拭いてあげ、しっかり乾かすようにしましょう。
▪︎保湿剤で肌を保護する
おむつ交換やお風呂の後は赤ちゃん用のワセリンやクリーム、ベビーオイルなどで肌を保護するようにしましょう。塗りこむ必要はありませんので、肌の上に保湿剤を乗せるようなイメージで優しく塗るようにしましょう。

でべそ(臍ヘルニア)

赤ちゃんはおへそ周りの筋肉がまだ弱いため、でべそになることがあります。でべそのことを医学用語で臍ヘルニアと呼びます。泣いたときなどにおへその飛び出しが目立ち、オムツを替えるときに気になる場合が多いです。でべそ(臍ヘルニア)は赤ちゃんの約5%前後に起こり、低出生体重児(2500g未満の小さく産まれたお子さま)に多いとされています。1歳で8割、2歳で9割が自然治癒すると言われていますが、治療せずに放置するとおへそ周りの皮膚が伸びてしまい結果的に手術が必要になる場合もあります。生後なるべく早い段階で治療開始したほうが治癒率が上がりますので、でべそかもしれないと不安に思われたら一度ご相談ください。

治療

1歳の8割、2歳の9割が自然治癒するため、治療するかどうかは相談のうえ行いますが当院では治療を推奨します。
治療は綿球とテープを使って圧迫療法を行います。
▪︎メリット
早期に治癒が期待でき、およそ1、2か月で80%前後の子が改善します
▪︎デメリット
テープまけを起こし皮膚炎を起こす可能性があります

圧迫療法の流れ

診察後、圧迫療法を開始します。1回目はクリニックで実際にやり方をお見せしながら行います。1週間ごとにテープと綿球の交換を行います。テープの交換は当院でも実施できますし、自宅でも構いません。自宅でテープ交換をされる場合は皮膚が赤くなるなどあれば再診していただき、なければ1か月後に再診していただき経過を診ます。治療期間は約2か月前後です。

よくある質問

でべそが気になります。治りますか?
1歳で8割、2歳で9割が自然治癒します。しかし、一部のお子さまでは自然治癒しない場合があります。その場合におへそをきれいにしようと思うと手術が必要になるケースがあるため、当院では治療をおすすめしています。
自然治癒するなら治療介入は不要ですか?
当院では綿球圧迫することをおすすめします。理由は2歳の1割は治らないからです。治らない場合は治療希望される場合は手術になります。治療介入した場合、多くの方が2か月前後で効果を実感され、4か月で8割の方が治癒します。
治療希望です。いつまでに受診したほうがいいですか?
できるだけ早いほうが改善率は高いです。気になる場合は説明だけでも受けることをおすすめします。生後6か月以降に開始すると改善率が低くなります。
綿球圧迫療法を開始しました。皮膚が赤くなったのですが、このまま続けて良いですか?
赤ちゃんの皮膚はデリケートなため皮膚炎など起こす可能性はあります。その場合は受診してください。皮膚炎の治療のため軟膏など処方します。その後の治療は皮膚の具合を見て相談になります。