北九州市 乳幼児健診について
北九州市では、乳幼児の健康管理のため、以下の月齢のお子さまの健康診査を実施しています。
いずれも、公費負担のため、自己負担はありません。
上記以外の、月齢でも健診のご相談をお受けしておりますので、お気軽にご相談ください。
受診の際にお持ちいただくもの
- 母子手帳(公費の健診の場合、綴じ込まれている受診票が必要です。)
- マイナンバーカード(健康保険証)
- 子ども医療証
- 替えのオムツ、おしりふき
1か月健診
1か月の赤ちゃんは、
- 授乳回数は7〜8回
- 尿回数は10回前後
- 排便回数は母乳栄養で2〜5回、ミルク栄養で1〜3回
であり1日の体重増加が20〜50gであれば良好な体重増加です。
1か月健診で診察する内容
- 体重増加が良好か
- 四肢の動きが良好か
- 原始反射(赤ちゃんの時期の反射)が出ているか
- 便の色は異常(胆道閉鎖症を疑う所見)ではないか
- 新生児マススクリーニング検査の結果、新生児聴覚スクリーニングマニュアルの結果
を確認していきます。
また、当院では2か月の予防接種の日程調整などもさせていただき、今後のお子さまの成長予定を作成します。
1か月健診でよくある質問
睡眠について
- 放っておくと4〜5時間寝てしまうのですが大丈夫ですか?
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1か月を過ぎると少し眠る時間が長くなる子も出てきます。体重増加が良好であれば問題ありませんが、体重の増えが少ない場合は哺乳に疲れて眠ってしまい、哺乳量が足りなくなっている可能性もあります。
母乳なので量がわからない、ミルクの追加量を知りたい、体重が増えているか不安な場合は当院の外来にお越しください。
一般診察室と分けたスペースで授乳前後の体重を測定し、母乳の量から必要であれば追加するミルクの量を指導したり、体重増加良好なのでこのままで大丈夫など指導を行うことが可能です。
- 赤ちゃんの睡眠について気をつけることは?
-
赤ちゃんは、寝返りができない時期に、何らかの原因で口が塞がっても、逃げることも原因を除去することもできません。うつ伏せで寝ることや顔近くまで覆う布団は乳幼児突然死症候群のリスクとなります。
睡眠について気をつけていくことは、
- ベビーベッドに寝かせ、柵は常にあげましょう。
- 敷布団、マットレス、枕は固めのものを掛け布団は軽いものを使いましょう。
- 口や鼻を覆ったり首に巻きつくものは置かないようにしましょう。
排便について
- 便の色や回数について教えてください。
-
1か月前後では便の回数は母乳栄養で2〜5回、ミルク栄養で1〜3回に減ります。
便色は緑色の場合は問題ありませんが、白/クリーム色の場合は精査が必要な場合があるので相談してください。
排便回数が多く、おむつかぶれがひどい場合は治療が必要ですので外用薬を処方します。
皮膚、体の状態について
- アトピー性皮膚炎?乳児湿疹?赤ちゃんの湿疹とは?
-
乳児湿疹は皮脂が多いためにできる湿疹でぷつぷつとした湿疹です。
通常、生後2〜8週間前後でおでこや鼻などの顔に出現します。医薬品での治療を要さず自然に軽快します。
アトピー性皮膚炎は顔面だけではなく体や手足にも湿疹が出現します。特にお肉が重なる部分(首や脇、手の曲げる部位)や口周りに出現します。適切な外用薬を塗ることが必要ですので早めの受診をお願いします。
また、ご両親やご兄弟がアレルギー素因のあるお子さまは保湿など予防することも非常に重要と言われているのでご相談ください。
- おへそが出ているのですが…
-
飛び出しているお臍(へそ)のことを臍ヘルニアと言います。
1歳までに80%、2歳までに90%が自然治癒すると言われていますが、治癒しなかった場合は改善するには手術することになります。
当院では、1か月で臍ヘルニアがある場合は綿球圧迫法という綿球での圧迫で治療をします。治癒率は約80〜90%前後が2〜3か月で改善が見込めます。但し、皮膚が荒れるなどある場合は適宜判断しながら加療していきます。
4か月健診(4か月〜7か月になる前日まで)
4か月の赤ちゃんは個人差がありますが、授乳間隔は4〜5時間で1回哺乳量は180〜220mL前後です。
笑顔もいっぱい増え、あやすと声を出して笑うことがあります。ご両親や気になるものを目で追うようになります。くびが座り手足の力もどんどん強くなります。
脳の障害などがこの時期からわかることもあり、他の健診時期と比較しても非常に重要と言われています。
4か月健診で診察する内容
- 首が座っているか、座らせた時に首が安定するか
- 四肢の力の入り方は良好か
- 体重増加は良好か
などを確認します。
また、この時期にわかることは、筋性斜頸、先天性心疾患、鼠径ヘルニア、停留精巣、陰嚢水腫、先天性股関節脱臼、脳性麻痺などがあります。
4か月での育児
哺乳について
1日の中でも哺乳にムラが出てきます。
ミルクの目処が180〜220mLと記載しましたが、毎回、全部飲ませようとするとミルク嫌いになることもあるので焦らず強制はせずに哺乳させてください。機嫌が良く飲める時にしっかり飲ませましょう。
哺乳量や体重増加が気になる場合はご相談ください。
環境の設定について
温度、湿度
室温は、夏は26〜28度/冬は20〜22度、室度は50〜60%を目安としましょう。
エアコンや扇風機は直接当たらないように気をつけましょう。
衣服
衣服は大人と比較し生後2か月までは1枚多く、2か月以降は大人と同じ、1歳以降は大人と同様または1枚少ないぐらいが目安です。
赤ちゃんの肌が汗ばんでいれば1枚少なくしましょう。
睡眠、外気浴
4か月になると昼と夜の区別がつくようになるので昼は外気浴をしましょう。沐浴や軽い散歩など決まった時間ですることで安眠と夜泣き対策として効果があります。また、外気浴は骨を作るビタミンD生成にも役立ちます。
とは言っても夏はすごく暑く、地面に近い場所にいるお子さんはさらに暑さを感じます。
【ビタミンD生成に要する日照時間の目安】
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9時 |
12時 |
15時 |
7月 |
5分前後 |
3分前後 |
10分前後 |
12月 |
100分前後 |
20分前後 |
270分前後 |
夏は12時前後の最も暑い時間は避け10分前後、冬は12時前後の少し暖かく感じる時間に20分前後行いましょう。
4か月健診でよくある質問
- 便秘気味なのですが、どのくらい様子を見ればいいですか?
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2〜3日便が出なくても、腹部膨満、哺乳力低下、不機嫌がなければ様子見でいいです。
4日以上でない場合、不機嫌な時間が増える、排便時に啼泣するなどあれば介入した方がいいかもしれないのでお腹のマッサージや綿棒浣腸、お薬で便の調整をした方がいいかもしれません。
- この時期の湿疹の原因は何ですか?
-
乳幼児湿疹の頻度は減り、この時期の湿疹はアトピー性皮膚炎の可能性があります。また、排便回数が多い場合はおむつ皮膚炎も出てくる時期になります。
手の動きも活発で顔を触ったりするので接触性に悪化する可能性もありますので、お早めにご相談ください。
7か月健診(7か月〜1歳になる前日まで)
7か月では、身体の成長のスピードが落ちいてきます。寝返り、お座りができるようになります。(手をついてしばらく座れればOKです。)欲しいものがあると声を出し、手を伸ばして掴もうとします。離乳食も進んでいることが多いです。
7か月健診で診察する内容
- 寝返りをするか、お座りができるか
- 顔にかけた布を払いのけるか
- 力の入り具合がどうか
- ものの掴み方がどうか
などを確認します。
7か月健診でよくある質問
- 夜泣きが始まったのですが…
-
この時期から夜泣きが始まります。お腹がすいた、おむつの汚れや暑さ、寒さと関連なく原因は不明のことも多いです。
夜泣きを無くすことは難しいですが、1日の生活リズムを見直し、日中に外で遊ばせる、就寝時の部屋は暗すぎず明るすぎないように調整します。
- 抱き癖がつくというのは本当ですか?
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抱き下ろした際に赤ちゃんが泣くようになってきます。抱き癖がつくのでとあまり抱かないようにすることは、間違っているので、いっぱい抱っこしてあげてください。
1歳6か月健診
1歳6か月の子は、上手に歩ける子が増えていきます。「ママ」など発語が3つほど言えるようになります。また、食事ではスプーンなどを使って食べようとしたり、興味を持ったものを指さして伝えます。
1歳6か月健診で診察する内容
- 視覚や聴覚の異常の早期発見や社会性の発達など確認するのに非常に重要な時期です
- 歩行や歩行の仕方
- O脚(内顆を揃えた時に2歳までは拳1個分入る、2歳以降で3横指以上)
- 話しかけに対する反応
- 目線の動かし方
を確認していきます。
また、「ちょっと気になる子」に注視をしていきます。
「ちょっと気になる子」とは歩行の遅れや言葉の遅れ、視線が合わない、周囲に無関心、偏食がひどい、スプーンで食事を取らないなどの所見がある方は、2〜3か月後、遅くとも2歳までは経過観察健診を行います。
場合によっては、本人の成長に医療、保健、福祉など市の介入が効果的な場合があります。
1歳6か月健診でよくある質問
- 偏食が激しいのですが、どうしたらいいですか?
-
「あまり食べない」「食事量にムラがある」「偏食」など気になることがあります。「いつ」「どこで」「なにを」を設定してあげることが重要です。
「いつ」
食事間隔を2.5時間〜3時間にする方が、だらだら食べよりもカロリーを摂取することができると言われています。
起きている時間を2.5で割って食事回数を決めます。(小数点切り捨て)1日の食事回数-食事回数3回=間食の回数(ミルク、母乳は除く)となります。
例えば、
24時間のうち起床時間が14時間とすると、14÷2.5=5.6=5回で、食事回数を設定します。
食事時間は15分から30分で終わり、だらだら食べないようにしましょう。食事の1時間前までミルク、母乳はOKです。
「どこで」
●椅子と食卓の高さ
こどもが食事をする食事用の椅子と食卓の高さを調整する事がとても大事です。
1歳の子どもはハイチェアで足がブラブラしないもの、トレイの高さが子どもの乳頭と臍の真ん中に来るようにする(椅子の足台と座面の高さを硬いクッションで調整)
1歳以降の歩ける子は足、膝、股の3つの関節が90°になる事を意識し足全体が床または足台に乗っているかを確認します。
●食べることに関係のないものを食卓に置かない
テレビ、ビデオ、Youtube、おもちゃなどは置かないようにしましょう。筆記用具、スマホ、メガネなど一見関係なさそう、興味なさそうなものも片付けましょう。
食事中にご両親が色々移動すると興味をひいたり、自分も移動していいと考えるようになります。できればご両親も食事終了まで食卓から移動しないように心がけましょう。
「なにを」
1歳前後のお子さんが白、薄黄色、薄茶色の丸いものを好む傾向があります。まずはお子さんが食べられるもののリストを作成します。
「食べれるもの=これまで3回異常、少なくとも2〜3口食べたもの」その中からタンパク質、炭水化物、野菜・果物の3群から1つずつメニューを出します。形態や調理法を少しずつ変えながらできれば2〜3日違うものを与えます。急に食べられるものが食べなくなったら2週間空けてみるのも良いです。
- 夜泣きはいつ頃に安定しますか?
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1日の眠りのパターンは3歳ごろまでに次第に一定化しますが、この頃は安定しません。以前は一晩中寝ていた子も夜間覚醒するようになることもあります。
健康状態に変化(咳がひどい、熱がある)がなければ成長の段階の変化かもしれません。
夜間よく眠れるように昼間に散歩などの適度な運動を心がけ、暗くて静かな安静できる環境を作ることが大切です。
- かんしゃくがひどいのですが、どうしたらいいですか?
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自我の芽生えとともに忍耐(我慢)の発達が未熟なため強い情緒反応の1つとしてかんしゃくはこの時期から始まります。
かんしゃくは思い通りにことが運ばないときに起こす抗議行動であると同時に、思い通りにいかない状況への回避行動であることが多いです。思い通りにいかないことへの認識や不安の感じ方はそれぞれです。してはいけないこと、良くないことが多くあるかもしれませんが、本人の思い通りにいかないことを共感したり手伝ったりすると信頼感が強まります。その中で良くないことを少しずつ我慢することを覚えさせていきましょう。
3歳児健診
3歳の子は、両足で跳んだり、階段を1人で上がったりすることができます。ペンやクレヨンでマルがかけたり、2つのものの差(大小、長短、色)がわかります。おしゃべりがかなり上手(3語文が出る)、聞かれると名前が言えます。
3歳児健診で診察する内容
低身長や痩せ、肥満など体格が周りと大きく離れていないか評価します。受け答えもできるようになり視力や聴力、言語発達なども知ることができます。その子ならではの個性も出る時期であり、集団生活や日常生活に支障が出るような自閉スペクトラム症などの評価も行います。
また、当院では目の検査も行っています。3歳健診での弱視の早期発見が就学前の治癒につながると報告されておりのちに説明します。
3歳児健診でよくある質問
- 目の検査とはどのようなことをするのですか?
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写真のスポットビジョンという検査を使って検査をします。
6つの弱視の危険因子(近視、遠視、乱視、不同視、斜視、瞳孔不同)を検知する機械、3歳で約99.7%が検査できると言われています。1m離れた距離から機器を向けると数秒で計測できます。
目的は機能的弱視の発見です。弱視とは視力の発達する期間(生後〜6歳前後)にピントが合っていない状態が持続すると視力が悪いまま発達が止まることです。
視力の発達する時期にメガネをかけピントの合った状態にすると視力の発達が助けられ弱視は治る可能性が高くなります。乳幼児にメガネをかけさせることに抵抗があるかもしれませんが、6歳以降では弱視は治りません。将来のお子様の眼を守るためにもぜひ検査を受けましょう。
- 少食や偏食があるのですが…
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やせや低身長がないか確認します。焦らず気長に見てあげることも大事ですが、やせや低身長など成長に支障が出そうな場合は当院で栄養指導を行い、食べさせ方の工夫や食べるものの工夫など立案します。
- おむつが取れないのですが、トレーニングはどのように進めたらいいですか?
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おむつの取れる時期はかなり個人差があります。焦らない、褒める、叱らないが大事です。
トイレトレーニング開始のタイミングは2〜3歳頃で、
- 1人で歩けること
- お話がある程度理解できること
- おしっこの間隔が2〜3時間空いていること
が目安となります。トイレトレーニングを始めることが発達の目安となります。
開始のための順序は
- イメージ作り(絵本や動画でトイレの存在を説明する)
- 体験(トイレやオマルに座らせてみる)
- トレーニングパンツを履いてみる
になります。
それでも昼間のおむつが取れるまでの期間は、50%が3か月以内に取れる子もいますが、30%以上は半年以上かかるので、あまり焦らず見てあげましょう。
5歳児健診
5歳児健診で診察する内容
幼児期において幼児の言語の理解能力や社会性が高まり、発達障害が認知される時期であり、保険、医療、福祉における対応の有無が、その後の成長・発達に影響を及ぼす時期である5歳児に対して健康調査を行い、子どもの特性を早期に発見し、特性に合わせた適切な支援を行うとともに、生活習慣、その他育児に関する指導を行い、幼児の健康の保持及び増進を図ること」を目的としています。
3歳児健診でも「ちょっと気になる子」として
- 言葉がちょっと遅い
- こだわりが強い
- 会話が成り立ちにくい
- 1人遊びが多い
- 落ち着きにくい
などの所見があれば注意して経過を見たり療育など環境の配備が行われますが、5歳ごろに集団における立ち振る舞いで苦労するお子さんがいます。その子が気づかれずに過ごすと学習や集団行動(学校での生活)につまずき、問題行動や不登校の原因となる場合があり5歳児健診を推奨されております。
5歳児検診は、情緒、社会性の発達状況や育児環境の課題などに対する気づきの場としての役割があり、他職種によるこども・家族の状況に応じた支援を開始し、就学に向けて必要な準備を目指しており現在、実施体制の整備を行っております。